- ❶傷口の汚れを水道水や生理食塩水で洗い流してください。
- ❷水分を取り除き、表面の穴あきポリフィルムを破らずに傷口へ吸収面(白側)を当て、
医療用テープ等で固定してください。 - ❸滲出液の量に応じて、1日1回から2回程度交換してください。
褥瘡(床ずれ)は、在宅ケアをつらいものにしてしまいます。
できてしまったらどのようにして治すのか。
医師の塚田邦夫先生に伺いました。
塚田 邦夫(つかだ くにお)
富山県高岡市生まれ。79年群馬大学医学部を卒業。
同年、東京医科歯科大学第二外科入局。
88年アメリカ合衆国クリーブランドクリニックの大腸直腸外科にて
大腸外科・腸疾患・ストーマケア・創傷治癒について研修。
91年富山医科薬科大学(現 富山大学)第2外科に籍を移す。
97年高岡駅南クリニック開業。
褥瘡は、どのような人にできますか?
褥瘡は、「床ずれ」ともいい「傷」の一種です。
自分で動くことができず、栄養状態が悪い人にできやすいですね。
要介護状態の人が風邪や肺炎で食欲がなくなり、寝ている時間が長くなった際にも、あっという間にできることがあります。褥瘡ができやすいのは、寝ているときなどに体の下で圧迫される所で、特に骨が出っ張っている部分です。皮膚の奥で進行するので、発見が遅れがちになり、気がついたときにはかなり悪化しているケースもあります。
自分で動くことができず、栄養状態が悪い人にできやすいですね。
要介護状態の人が風邪や肺炎で食欲がなくなり、寝ている時間が長くなった際にも、あっという間にできることがあります。褥瘡ができやすいのは、寝ているときなどに体の下で圧迫される所で、特に骨が出っ張っている部分です。皮膚の奥で進行するので、発見が遅れがちになり、気がついたときにはかなり悪化しているケースもあります。
褥瘡は、本人や家族に何をもたらしますか?
本人にとっては、とても痛い。しかも、その痛さを訴えられない人が褥瘡になりやすいのです。
家族は、傷のひどさにショックを受けるでしょう。
調べると介護の方法が原因だと分かるので、自責の念にかられるかもしれませんね。
褥瘡は介護をする人がどんなに注意をしてもできてしまうことがあります。
在宅介護では「できて当たり前」と思って、「専門職と一緒に治す」「やってはいけないことをやらない」、この2点が治すためのポイントです。
家族は、傷のひどさにショックを受けるでしょう。
調べると介護の方法が原因だと分かるので、自責の念にかられるかもしれませんね。
褥瘡は介護をする人がどんなに注意をしてもできてしまうことがあります。
在宅介護では「できて当たり前」と思って、「専門職と一緒に治す」「やってはいけないことをやらない」、この2点が治すためのポイントです。
専門職と一緒に治すメリットを教えてください。
早期発見が難しい褥瘡も、訪問看護師なら発見を早めて手を打つことができますし、予防と治療についても、心強いパートナーになってくれます。
福祉用具の専門家に相談すれば、予防と悪化の防止に効果的な「体圧分散寝具」や「圧迫やズレを逃がすグローブ」などを教えてくれます。
栄養状態を良好に保つには、管理栄養士や訪問看護師に相談するといいでしょう。また、歯科医、歯科衛生士、言語聴覚士も大切な口腔ケアの力になってくれます。このように専門職と協力すれば、褥瘡をスピーディーに治すことができるのです。
福祉用具の専門家に相談すれば、予防と悪化の防止に効果的な「体圧分散寝具」や「圧迫やズレを逃がすグローブ」などを教えてくれます。
栄養状態を良好に保つには、管理栄養士や訪問看護師に相談するといいでしょう。また、歯科医、歯科衛生士、言語聴覚士も大切な口腔ケアの力になってくれます。このように専門職と協力すれば、褥瘡をスピーディーに治すことができるのです。
では、「やってはいけないこと」とは
どういったことでしょうか?
どういったことでしょうか?
ポイントを3つ挙げます。これは、やけどや切り傷など、すべての傷に共通します。
-
❶傷口を消毒しない
傷口は40℃以下のぬるま湯で洗います。
消毒液を使うと、傷を治す細胞まで殺してしまうので、治りづらくなります。 -
❷ガーゼで傷口を圧迫しない
傷口が赤くなって汁(滲出液)が出てきたときには、軟膏をつけたガーゼを当てたくなりますが、それはやめましょう。
ガーゼは硬く、汁を吸うために厚く当てると、傷に圧力がかかってしまいます。 -
❸傷の表面を乾燥させない
傷の表面では、傷を治そうと多種多様な細胞が頑張っています。
乾燥させると細胞が死ぬばかりか、その死骸が「異物」となり、感染が起こりやすくなります。
乾燥させないためには
どのようにすればよいのでしょうか。
どのようにすればよいのでしょうか。
「穴あきポリパッド」などのドレッシング材で、湿った環境である「湿潤環境」を作ります。
これは、傷の自然治癒力を高めるために最適な環境だといえます。
「消毒しない」「圧迫しない」「乾燥させない」。
そうすれば、早く、きれいに、痛みなく、傷を治すことができます。
これは、傷の自然治癒力を高めるために最適な環境だといえます。
「消毒しない」「圧迫しない」「乾燥させない」。
そうすれば、早く、きれいに、痛みなく、傷を治すことができます。
「病院から在宅」へは、時代の大きな流れです。
とはいえ、在宅介護に不安は付き物。
「安心」のためにできることについて在宅医療をおこなっている医師の塚田邦夫先生に
スズランの國枝社長がお話しを伺いました。
左:塚田 邦夫(つかだ くにお)
富山県高岡市生まれ 高岡駅南クリニック院長
著書として『最新改訂版 やさしくわかる創傷・褥創ケアと栄養管理のポイント』『新床ずれケアナビ』などがある
右:國枝 靖弘(くにえだ やすひろ)
愛知県名古屋市生まれ
180年を超える歴史をもつ衛生材料メーカースズラン株式会社の代表取締役社長
大切にしているものは家にあります。
- 塚田:
-
「在宅介護」を訪問診療で見る限り、それぞれの家族で取り組み方は違っていますね。
緊張感いっぱいのご家庭もあれば、笑いに満ちたご家庭もある。
真面目過ぎるご家族もいれば、ハラハラするくらい手抜きをするご家族もいらっしゃいます。
- 國枝:
-
数年前に父親を看取ったとき、私にとっては緊張感がありました。
末期の咽頭がんのため首のガーゼを交換するのですが、
主治医の先生に「出血することもあるから」と言われていて。
とても神経を使っていました。
緊張感はありましたけど、孫や子供、長年の連れ合いもいて、 会おうと思えばすぐに顔を見ることができる。 何より、入院中とは違い、父の表情はとても穏やかでしたね。
- 塚田:
- 家には大切なものがありますから。年を重ねるにつれ、家族や思い出が、かけがえのないものになってくるのでしょう。
- 國枝:
- 父親の幸せは、家にあったんだろうなと思います。それは病院に持って行けるものではありません。 家にずっといたかったのだろうなあと…。でも、最期は病院でした。
- 塚田:
- どこで亡くなったのかより、亡くなる前にどう生きたのか。それが重要だと思います。
- 國枝:
- そう言ってくださると救われた気がします。 今は病院から追い出される時代と言われますが、結果として幸せだったのかもしれません。
- 塚田:
-
その追い出された感がある限りは、在宅医療の進歩はないのだと感じています。
患者さんは、「家に帰りたい」と思っている。同時に、「追い出された」とも感じている。
何かおかしいと思いませんか?
- 國枝:
- 確かにそうですね。やっと家に帰ってきたのに、不安に包まれる。
「追い出される」から、「喜んで帰られる」へ。
- 塚田:
- 追い出すためではなく、喜んで帰ってもらうための退院支援が必要なんです。 入院した時から患者さんの思いをスタッフで共有していれば、退院は祝福になるはずです。 それともう一つ、「家に帰ってつらくなったら、いつでも来ていいですからね」と一声添えること。
- 國枝:
- その言葉だけで、安心しますね。
- 塚田:
- 「不安」ではなく、「安心」を保証することが医療者の努めだと思っています。
「安心」のためにできること。
- 國枝:
- こんなことがありました。 父は胃ろうだったので、Yの字にカットしたガーゼが必要だったのですが、 街の薬局やドラッグストアにはそれが置いていないのです。
- 塚田:
- 通常は取り寄せのようですね。
- 國枝:
- 衛生材料のメーカーである私たちは大いに反省しました。 病院で普通に使われている衛生材料が、在宅では手に入りづらい。 簡単に入手できる商品化と流通ルートの必要性を痛感しました。
- 塚田:
- 商品化に当たっては、ぜひ現場の意見を入れてみてください。 介護の現場は本当に工夫に満ちていて、私のクリニックでも、 特に傷の治療の分野において、在宅での「工夫」をどんどん使わせてもらっています。
- 國枝:
- 「現場から学ぶ」ですね。私たちもその発想ですでに商品化したものもあります。 現場の皆さんが手作りしていたものを、メーカーとして責任をもって、 安全な環境の下で作らせていただき、低価格で提供しています。
- 塚田:
- 介護の現場はもちろん、私たち医師もそのような商品を待ち望んでいるんですよ。